愛着を求めながら、抑制するジレンマ
無力で保護されなければ生きていけない幼いこどもにとっては、
大人への依存と愛着による親密さを求めるのは、生物学的な欲求です。
しかし、安心できない環境を生き抜いた人たちは、傷つけられるリスクを高めないように振る舞いながらも、気まぐれに守ってくれる人との関係を損なわぬよう注意を払い、
同時に愛着欲求を抑制するという複雑なジレンマを抱えています。
例えば、こんな様子です。
転んで涙ぐんだ3歳ハナちゃんは、お母さんと目を合わせず、なぐさめを求めませんでした。
お母さんは、ハナちゃんが泣いていることに気づきもしません。
ハナちゃんは、ひとりで立ち上がり、部屋の隅で静かに泣きながら、壁に頭を打ち付け始め、
それは、気持ちが落ち着くまで続きました。
これは、親密さへの欲求と、遠ざかって自分を守るという衝動が同時に起こらないようにするための解決法なのです。